2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧

「クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い」 西尾維新    

かねてより読みたかった西尾維新の作品。そしてこれがデビュー作。 この本の中で、主人公の「ぼく」は人生に絶望している。何事にも無関心だが、他人には流されてしまう。無関心だが、それを理由にコミュニケーションをすべて断絶するほどの勇気や根性はなく…

「!」 二宮敦人

3編のホラーを収録 「クラスメイト」はミスリードを誘うのが不自然すぎる。「穴」は主人公の女の死体に対する感覚が慣れすぎてて、こいつが夢遊病的に殺してたのかとも思ったが、そこは単純に描写が甘かっただけらしい。 でも犯人はそれ以外なら男だと思って…

「白痴」  坂口安吾   

観念を乗り越えたい。観念は弱すぎる。なんとかして現実・実践にもっていきたいものだ。 弱者である観念だけの存在は、非常に利己的で、「冷酷」で「鬼」になれるということを、この短編集のなかの「青鬼の褌を洗う女」の中で坂口安吾は見事に指摘している。…

「ほしのこえ」 大場惑  

『一五歳のミカコだよ。ね、わたしいまでも、ノボルくんのこと、すごくすごく好きだよ。』 新海誠が原作のアニメを小説にしたやつ。 15歳のミカコにしてはそぐわないような言葉を使ってしまっていて、ん?と思う。主観年齢とか。ミカコが徴用されているのを…

「テラフォーマーズ」 15

言葉が強くていい。 後ろに君がいる。 何かのために がオレにはない。 ネタバレになるから名前は伏せるが、ある夫婦の死が壮絶すぎる。 二人とも同じように上半身吹っ飛ばされて死ぬってなんという後味の悪さだ。 そして二人は、ちゃんと生きていた過去があ…

「64 」 横山秀夫 

表紙がかっこいいね。タイトルもかっこいい。ロクヨン。1ページあけて、カラーページに電話ボックスが奇妙な光の中にあるのも、怖いような、幻想的な光景で良い。ただ、長すぎる。 650ページくらいある。基本的に、500ページを超えている小説は気をつけなく…

「堕落論」 坂口安吾   

またもやフィクションじゃなくて評論。 この評論集の中では、坂口安吾が小林秀雄について書いた、「教祖の文学」の中に、生きることの意味のわからなさがちゃんと書かれていてえらい。 えらいね。 人間は何をしでかすかわからない。自分でもわけが分からない…

「夫婦茶碗」 町田康  

「夫婦茶碗」と「人間の屑」の二編を収録 両方とも屑が出てくるけど、なんかちゃっかり人生を楽しんでいるような屑であるから、見てて親近感がわかない。 妊娠させすぎだろ。 「人間失格」もそうだけど、簡単にセックスしちゃってる人間が自分は屑だ、って思…

「虫眼とアニ眼」   養老孟司・宮崎駿   

養老孟司と宮崎駿の対談本。フィクションじゃねーけども。 養老も宮崎も、二人とも自然に触れている。人間関係から自由な、「自然を見る眼」を持っている。 自分たちの世代は、テレビもインターネットもスマホもあって、「人間や人工物や人間関係に対する眼…

「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」 押見修造  

吃音の高校生の女の子の話。 押見修造はうまいね。絵も話も。 吃音のつらさは自分にはわからないが、自分の醜態を人に見せなくてはならない恐怖はわかる。 例えば自分にとって、作業は恐怖だ。 仕事は「作業的な何か」の塊だ。だから自分は仕事が怖くてたま…

「ちーちゃんはちょっと足りない」 阿部共実 

阿部共実が天才だと思う理由を全て書こうとしたら、きっと俺は老人になってしまう。それくらい時間がかかるから、「ちーちゃんはちょっと足りない」だけにとどめよう。 このマンガは「このマンガがすごい2015」オンナ編で1位だけど、一般受けはしないだ…