実家脳

想起

太宰治 「女生徒」

太宰治の短編集。全ての短編が、女性の視点から描かれている。
太宰の作品は、人間失格、斜陽、走れメロス、という有名どころしか読んでいなかった。
今回、月がきれい、というアニメで言及されていたから、読んでみることとした。

すごいと思った。
まず、純粋に面白い。今読んでも全然通用する設定の面白さがある。例えば、「恥」では、ある小説家の狂信的なファンが、自意識過剰により自分の住所が作者にバレてしまったと思っている。また、「おさん」は、不倫した夫が、不倫旅行中に心中し、その死体を妻が引き取りに行くときの回想だ。
つぎに、やはり、心情描写が的確で、ハッとさせる。
表題作の「女生徒」の、青春の悩みははしかみたいなものだが、はしかで死ぬ人もいるではないか、のようなところ。長いから引用はしないが、後半の主人公のたたみかけるような述懐は凄みを感じさせる。
最後に、女性の、特にまだ完全に大人になっていない女性の、かわいらしい言動を描くのがうまい。
あえて助詞を抜いたりしているんだろうか。
あー、やっぱ太宰ってただナヨナヨしてるだけじゃなくてすごい人だったんだな、と実感。