実家脳

想起

「死にたくなるしょうもない日々が死にたくなるくらいしょうもなくて死ぬほど死にたくない日々」 2

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阿部共実最新作。

 

初出を見てみると、必ずしも掲載された順に並んでいるわけではないことがわかる。

ひとつの作品としての流れを考えてくれているという配慮が嬉しい。

 

阿部共実のマンガの特徴として、女の子の会話文がとても魅力的であることが挙げられると想う。

 

「でもでもは女の子相手にご法度だよ 映画や漫画の話題だけではなくもっと日常会話でも私楽しませろーい」(7759)

 

こういう言葉を発する女の子こそ、阿部共実の作品に出てくる女の子の魅力だ。

フィクションの中でありながら、また別のフィクションの中から言葉を借りてきたような話し方をし、そのぎこちなさを韜晦するように、語尾は「ろーい」とふざける、みたいな。

 

「あれをね 奪ったらおもしろいんだよ」(同じクラスの鈴木君のねこの人形)

 

「あれを奪ったら面白いよ」ではなく、「あれをね」で一回ためることで、末尾の「だよ」が強調され、女の子的なたくらみの様子がうまく表現されている。

 

 

 

8304、7759 ともに数字4桁でこの巻で最も印象的な話だが、ふたつともタイトルの意味がわからない。

 

わかったらどんどん修正していこうとおもう。

はっきりいって、1巻のインパクトは超えられていないかもしれない。だが、今回8304のような、また新たな幻想的な世界に挑戦していて、実験的で面白く、読んでよかった。なんだか、綺麗なのだ。死んでいくのに。腐敗していく直前の、閃光のような儚い美しさがある。

 

 8304 7759 は、生きてきた時間の長さか。そういうことを指摘している人がいて、なるほどなと想った。

ただ、自分としては、8304のけんちゃんは、7759の橘くんと同一人物ではないかと想っているので(「自分は欠陥だ」とおもっているところなど、そういえば古谷実の「ヒメアノール」の殺人にしか快楽を感じないやつに近いものを感じる。)

その解釈だと7759で人生が終わっているはずの橘が、8304という累計日数に到達できるはずがないから、橘とけんちゃんは別、あるいは数字には別の解釈があるということになる。

なんにせよ、感想を書きたいと思わせるマンガだ。すばらしい。