「64 」 横山秀夫
表紙がかっこいいね。
タイトルもかっこいい。ロクヨン。
1ページあけて、カラーページに電話ボックスが奇妙な光の中にあるのも、怖いような、幻想的な光景で良い。
ただ、長すぎる。
650ページくらいある。
基本的に、500ページを超えている小説は気をつけなくてはいけないと思う。例えば、450ページ読んで、あまり面白くなくても、読み続けてしまうだろう。
そして、面白かった、とか思うんだろう。認知的不協和だ。
別につまらなくはない。
でも、400ページくらいにできたんじゃないの、と思う。登場人物が無駄に多い。「志乃ちゃんは〜」の登場人物の少なさを見習ってほしい。そして、人物描写が浅い、と思う。あまり好きになれない主人公の三上の目を通した人物評価ばかりで、なんだかね。警察の内部紛争を緻密に描いているのはわかるけど、人間を緻密に描いてくれないと、立派な建物を見ているだけのような気分になる。
最後の方、64事件と新たな誘拐の関連が明らかになる時、確かに、ミステリーならではの、あの、ページをめくるのが怖いような、静かな興奮はあった。
それがあるだけでこの本はまぁ面白い本に分類していいんだけど、うーん。
醜形恐怖症とか、釣り合いの取れない容姿の夫婦とか、面白そうなテーマは散逸してるのに、深く掘り下げてくれない。もったいない。
娘そのまんまかい。
64の犯人を暴いた方法たしかにすごいけど冷静になったら不可能だろ、と思わざるを得ない。
そもそも電話に出ない人間とかいただろ絶対に。穴だらけの状態で虱潰しに続けるだろうか。
うーん。